<緋龍巴凪様より>抜×巴小説

約束

 

 

 

真っ白い雪の上に 真っ赤な血が舞った。

 

俺は斬ってしまった。   

 

 

彼女を……

 

白い肌に真っ赤な血を流しながら、彼女の最後の一言……

 

 

「これでいいのです。これがあなたのためですから……」

 

 

君を失う事のどこが俺のためなんだ・・・・              

     

 

「巴……」  

 

  今、俺は彼女と数ヶ月間暮らした家で彼女の顔を見つめている。

 

  「昨日 約束したばかりじゃないか。巴の幸せは俺が守ると…」

 

彼女が俺に残してくれた頬の傷に触れながら、俺は彼女に語りかけた。

 

  「つらかっただろう。仇の俺と数ヶ月も暮らして…。でも君はもう苦し

  まなくていいんだよね。俺のほうもつらいけど大丈夫だとおもう。今までも

  大丈夫だったし、これからもきっとなんとかなるよ…。でもまだ今だけ

  はこのまま…君のそばに…」

 

  俺はこのあとも人を斬るだろう。

新時代がくるその日まで多分俺は屍の上をつき進むことになるだろう。    

 

「でも新時代がきたら俺は人を斬ることなく、人を守れる道をさがすつもり

  だ。君がくれた勇気と優しさを忘れず、生きていこうと思う。 それが君の

  笑顔がさとしてくれた、つぐないのありかただ。」    

 

  俺は彼女にほほえみかけ、 

 

  「ありがとう。さよなら…巴…」

俺は家の外にでて彼女と暮らした家に火をかけた。 

そしてもう一度言った

 

「ありがとう……巴……」     

 

そして俺は彼女の思い出の残る家を後にした。涙が次々とあふれてきた。 

 

俺は今、ここに約束する。 

新時代がきたら俺が斬った人より多くの人を守る。

 

 

巴……見ていてくれ。

 

 

  幕末…京都に人斬り抜刀斎とよばれる志士がいた。修羅さながらに人を

  斬り、その血刀をもって新時代 明治 をきりひらいた男は幕末の動乱の終

  わりと共に人々の前から姿を消した。

 

 

  そして明治11年東京下町に刀をさして歩く一人の剣客の姿があった。

                           

 

                                           END

緋龍巴凪さんより頂きましたv

風花庵には珍しい、抜刀斎と巴のお話でした。

なんていうか、胸がきゅんとなってしまうお話ですね(><)

素朴な言葉の中に力があります。

巴凪さんの小説好きデス!ラブコール!!!!(やめれ)

 

 

 

巴凪さんは小説投稿フォームからご投稿くださいました!

お題ではなくても、男女カップリングのお話ならOK!ぜひぜひ投稿してくださいね^^            2004.9.4 up

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