*…陽射し…*kaoruちゃんThank you★ |
「陽射し」 キスして 抱きしめて 側にいてくれるだけで嬉しいの 貴方が…好き * 新緑が目にまぶしい季節。 剣路が水遊びをしているのをのんびり眺めながら、縁側でうとうとしていた。 う〜ん… 昨日剣路がなかなか寝なかったんだもん。 眠たいよぅ。 台所から野菜を刻むトントンという音が響く。 規則正しいその音が、さらに眠気を誘う。 う〜。もうダメ。 「剣路。もう止めようか?お父さんがご飯作ってくれてるし…」 その言葉にかぶさるように、 「いや。」 剣路の即答。 「なんで?もう終わりにしよ?」 「い〜や!」 剣路は水遊びが気に入ったらしくなかなか止めようとしない。 楽しげに手に掬った透明な水の塊をはね散らかしたり、かぶったりしている。 時折太陽の光を反射して、突き刺さるような光線がちらつく。 「では、剣路の昼飯は無しという事で。薫殿。拙者達は昼飯を…。」 不意に頭の上から涼しげな声が降りてくる。 身体の向きをそのままに首を後ろにパタンと傾けると剣心の顔が見えた。 「もうご飯できたの?」 「あぁ。でも、剣路はいらないらしいから、早く食べよう。」 その言葉を聞いて焦った剣路が、駈けてこようとしたけど、慌てたせいか足がも つれて盛大に転ぶ。 べたんと、転ぶ音。そして一瞬の間。 その後、 「ふぇぇぇぇぇぇぇぇぇん。」 剣路の大きな泣き声。 思わず駈け寄って剣路を抱き上げると、背中をぽんぽんと 軽く叩きながら、声をかける。 「大丈夫よ〜。良し良し。」 「ふぇぇぇぇぇぇぇぇぇん。」 身体を軽く上下に揺らし、泣き止まそうとするがなかなか泣き止まない。 「剣路。痛くないから〜。」 「ふぇぇぇぇぇぇぇぇぇん。」 あまりにも泣き止まない剣路に、もしかして足の骨を折ったんじゃないかと不安 になり、片手で足の確認をしようとした。 そのとき、剣心が剣路を私の腕から抱き上げて、剣路の耳もとに何かをささやく。 とたんに剣路は泣き止んで、剣心の腕から下りると、 とことこと歩いてご飯を食べに行く。 「………何言ったの?」 隣に立ってニコニコ笑っている喰えない夫に向かって尋ねる。 すると、涼しい顔をして言った。 「特には何も。ただ………」 「ただ?」 「"あんまり母さんを困らせると嫌われるぞ"とだけ。」 「あ……そ。」 なんだか剣路を心配してたのが馬鹿らしくなって、早めにご飯を済ませると、 剣路をお昼寝させる為に布団を敷いた。 * 「すぅ〜。」「くぅ〜。」と、剣路が寝ているのに付き合って 布団に寝転んでいると、さっきの睡魔がまた襲ってくる。 障子を通して入ってくる陽射しは、柔らかく暖かい。 まぶたがだんだん仲良しになっていって、意識が遠くなる。 ふわふわで、気持ちのいい夢の中に誘われていく。 そんな時ふんわり柔らかいものが唇に触れた。 くすぐったくて、顔を少しずらして避ける。 「んん…………。」 また、そっと唇に柔らかいものが触れる。 もう一度避けようとして、ふと考える。 ……何…コレ…? コレ……………何? うっすらと目を開くとそこには世界で一番愛しい人がいた………。 「…………何やってるの?」 「何って、奥さんが可愛く眠っているのをただ黙って見ているなんて 拙者にはできないでござるよ。」 にっこりと剣心の唇が笑みの形を作るのを唇で感じる。 唇を重ねたまま、剣心にささやく。 「剣路が起きたらど〜すんのよ。」 「では。」 急に口付けが深くなる。 「んんっ!?」 剣心の着物をきゅっと握り締める。 息があがる。 甘いめまいが襲う。 白くなっていく意識の中で、一つだけ気になること。 「ねぇ……………けんじが………おきたら…こまるぅ…………。」 口付けの合い間に必死で剣心に訴えると、剣心は緩く微笑んで私から離れた。 そしてそっと、まるで壊れ物にでも触れるように指先で唇をなぞる。 冷たくて温かい指が唇から離れていく。 口の端に軽く口付けて、余韻が残る。 ホッとすると同時に、どこか寂しく感じる。 「いい子にしてるんでござるよ。」 ゾクリと響く声を耳元に忍び込ませて、剣心が部屋から出て行く。 それと同時に障子の隙間から差し込んで来る陽射しが目に突き刺さって眩しい。 身体から力がカクリと抜けて動けないのに、頭は妙に冴えてて、 眠気の「ね」の字も無い。 心臓の音が、耳元で鳴っているかのようにうるさい。 きつく握り締めた指先が冷たくなっていた。 ……………あんなに色っぽい剣心って始めてかも…………… きっと今、私の顔真っ赤なんだろうな……………恥ずかしい………… 剣路の泣き声に我に返ると、小さく子守唄を歌い寝付かせる。 抱き寄せて抱きしめて体温を伝えて。 少しでも安心できるように。 剣心がいつも私にやっているように。 剣路が安心したように眠りにつくのを見て、愛しさが募る。 大好きな人にそっくりな寝顔。 今はまだ、もう少しこのままで……………… 「ん…………剣心……………好き…。」 白い敷布に頭を預けて、甘い夢は午後の陽射しに柔らかく溶けていった。 〜オマケ〜 黒い闇の中にそこだけぽっかりと穴のあいたような幻想的な満月。 月明かりは、全てを照らす。 甘い夢も… † 白い敷布にそれよりもっと白い肩。 その上に散らばる黒紫の柔らかな髪。 薄闇が支配する部屋の中に満ちている空気は限りなく甘い。 障子が少し開いていた。 その隙間から満月の月明かりがそっと忍び込む。 可愛らしい寝顔に月明かりが眩しい。 (少し無理を強いたか…) 幻想的な世界の中、現実に取り残された男が一人。 腕にあるぬくもりにふとそう思う。 誰より愛しい存在で。 自分に光を与えてくれた人。 守るべきもの。 帰る場所をくれた人。 可愛くて。 自分の子供にすら嫉妬の感情を覚えてしまう。 だから… わざと眠っている彼女に口付けを仕掛けた。 眠っている間も自分を忘れないように。 それ以上に、無防備に眠る彼女が愛しくて。 白い肩に手を当てて。 冷えないように抱きしめて。 彼女の見せる甘い夢に溺れる。 「お休み………」 一つの言葉が闇に吸い取られた。 |
4000番のキリ番GETをし、YOURS COLORのkaoruちゃんに頂きました。最後のオマケは私にだけvv(激嬉)ということでとっても嬉しいです☆オマケ、というのには勿体無いですよねぇ…(////)これだけでも十分鼻血噴きそうです(笑)オマケのシュチュエーションはご自由に考えてくださいvとのことです(笑) |