愛しい君へ |
愛しい君へ 「薫殿、今日は天気もいい。ちょっと二人で出かけるでござるよ」 今日は薫の誕生日 特別なこの日 剣心は薫を誘い、町へ買い物に出かけた 二人だけの久しぶりの買い物 薫は幸せだった・・・・なのに・・・・ 「剣心、どこ見てるの?」 「えっ・・・・・」 にぎやかな町の真ん中に止まり、薫は剣心に話し掛けた 剣心はわけの分からないような顔で、薫を見つめる 先ほどから剣心は前を見ず、周りをキョロキョロしていた 不思議に思った薫は剣心が向くほうに視線を向けた そこには、綺麗な着物を着て歩く美しい女性 それも一度だけじゃない。 向くたびに見るのは着飾った女性ばかり どうして・・・・? 「どこって、拙者は別に・・・・・」 「・・・・・そう」 明らかに剣心は嘘をついている 目をあわそうとしない 薫の剣心への不信感は募った 「さて、どこかでお茶にするでござるよ、薫殿」 「え、うん・・・・・」 「どこがいいでござるか?」 「ん〜、私はどこでも・・・」 「ならそこにある店でいいでござるな。先日、燕殿からおいしいと 言っていたでござるよ」 「うん!」 「じゃあ、行こう」 薫の手をひき歩く剣心 いつもと変わらない剣心 やっぱりさっきのは薫の気のせいなのか? 薫はそう思った だが、その考えは目の前で起こる剣心の行動によって覆された お店の入り口へきた時、剣心の視線は薫ではなく後ろへと向いていた 後ろを振り返るとそこには、綺麗な着物、かわいい髪飾り、美しい黒髪の女性 薫はまさかと言う気持ちで剣心を見る 剣心の目は何か真剣な感じで何かを考えながら後ろの美女を見ている すると、いったん女性から目を離し、薫のほうをむいた 「薫殿、すまないが先に入っていてほしいでござる。拙者、少し用事が・・・」 「何?用事って・・・・」 「す、すぐに戻ってくるでござるから、ここにいるでござるよ!」 「あっ・・・剣心!」 薫の声も聞かず剣心は人ごみの中へ入っていった 薫の中で不安が過ぎる 用事って何? もしかしてさっきの人と? でも剣心に限ってそんなことは・・・ そう思った時にはもう、薫は剣心を探しながら走っていた 目の前の人ごみを押しのけ、前へ進む やっと抜け出したその目の前には見たくなかった光景があった 剣心がいた。でも隣にはさっきの女性もいる 二人で話しながら歩いている 目の前が暗くなった 信じられない これは‘夢,? でもどんなに目をこすっても目の前にいる剣心の姿は変わらない 頬も赤く染まって、笑いながら話す剣心 見たくない 薫はうつむきながらあふれる感情を抑えた すると後ろから周りのにぎやかな声に負けないほどの声が聞こえた 「よっ、薫!」 「薫さん、こんにちは・・・・」 「弥彦・・に燕ちゃん」 その声の主はまぎれもない弥彦だった 彼女の燕を連れている 「何してたの?」 「薫の誕生日の贈り物、燕に選んでもらってたんだよ。それからは 燕と二人で出かけたんだ。な、燕」 「うん・・・薫さんは?」 「えっ・・・・私・・・・私は・・・・」 「・・・・か、薫さん! 「え・・・わっ!ど、どうしたんだよ、薫!」 「・・・・・・・・」 薫の目は涙で覆われていた たまる涙で弥彦達の顔が見えない さっきの剣心の姿が頭を過ぎる 思い出すたびに涙があふれてくる 「薫、一体何があったんだ?」 「な、なんでもない・・・なんでも・・・・」 「馬鹿!何にもなくてそんなに泣く奴がいるか!!」 「薫さん、できれば私達に話してください。とりあえず神谷道場に 戻ろう、弥彦君」 「あ、ああ。そうだな、ほらしっかりしろよ薫」 「う、うん・・・・・・」 薫を気遣って道場へ戻ろうとする二人に連れられながら、涙目の目をこすり 再度後ろを振り返る もうそこに剣心の姿はなかった 道場に帰った後、ひとまず二人はは薫が落ち着くのを待った 「どうですか、薫さん。落ち着きましたか?」 「え、うん、何とか。・・・二人ともありがとう」 「礼はいいよ。それより一体何があったんだ?」 「・・・・それは、私が・・・」 「剣心か?」 「!!!!!!!」 「やっぱし・・・・いいか、あれはなぁ・・・」 「や、弥彦君!ちょっと!」 「え、何だよ燕・・・」 弥彦が何か言おうとしたその時、燕が弥彦の腕を取り隅へ連れて行った 二人顔を合わせて何かを話している もしかして剣心のことを二人は知っている? でもどうして・・・? しばらくして二人は戻ってきた 「え、え〜と。その・・・・なんだ。剣心が何かしたのか?」 「どうして剣心だって分かるの?」 「へっ・・・いや、それは・・・・」 「ねぇ、二人とも何か私に隠してない?」 「え、何もないですよ。ね、ねぇ弥彦君!」 「え、あ、ああ。何もないぜ!」 「嘘つかないで!」 「・・・・・・分かったよ。話すから落ち着けって」 「弥彦君、いいの?」 「しょうがねぇだろ。剣心からは薫には内緒にしとけって言われたけど」 「剣心が・・・・・?」 「いいか、一度しか言わないからな」 ー3日前ー 「どうした剣心。元気ないな」 「・・・なぁ、弥彦。お前は燕殿の誕生日に何を贈ったでござるか?」 「何だよ急に・・・・なるほど、薫か。そういえば3日後だな」 「何を贈ればいいのか・・・・」 「そうだな・・・あ、なぁ燕。薫の贈り物何がいいと思う?」 「え、そうだなぁ・・・薫さん髪長くて綺麗だから髪飾りとかかな」 「髪飾り・・・・」 「いいな、髪飾りか。どうだ?剣心」 「・・・・そうでござるな。・・・・よし決めた!薫殿への贈り物は 髪飾りにするでござるよ。ありがとう、弥彦、燕殿。あ、このことは 薫殿には内緒にしておいて欲しいでござる」 「と、言うわけだ!」 腕を組み、ふんぞり返りながら弥彦の話は終わった 「私の・・・誕生日の贈り物のため・・・・?」 「そうなの。薫さんには内緒にって言われてたんだけど・・・・」 「じゃあどうして?」 「何が?」 「剣心、女の人と一緒にいたの。綺麗な着物で黒髪の・・・・」 「ああ、薫を置いてきぼりっていうのはちょっとって思うけど、あれあ 薫への髪飾りを探すの手伝ってもらってたんだよ」 「えっ・・・・・・」 「本当なら今日みたいに私が一緒に探すはずだったんですけど、赤べこの仕 事がどうしても休めなくて・・・・・」 「しょうがないから薫連れて探そうと思ってたとき、丁度そこに黒髪で綺麗な 髪飾りつけた女の人が見えたからその人に髪飾り探すの手伝ってもらってた んだと。」 「だから誤解なんです、薫さん」 薫は唖然とした 剣心は悪くない むしろ悪いのは自分 大好きな剣心を信じられなかった 信じられなかった自分に腹が立つ 「弥彦、言わないと約束したはずだけど・・・」 ふすまの戸がスッと開いたと同時に男の声がした 後ろを振り返るとそこには薫の思ったとおりの人、剣心だった 「あ、剣心・・・・・」 「ご、ごめんなさい・・・」 「いや、今から渡すつもりでいたからいいでござるよ。・・・薫殿?」 「剣・・・心・・・。お願い・・・・」 「おろ?」 「私を・・・私を殴って!」 「ええっ!」<3人 そう言うとかおるは剣心の左手首をつかみ自分の左頬を思いっきりひっぱたいた 辺りにはたたいた音が鳴り響く 剣心、弥彦、燕は薫を呆然と見つめる 「か、薫殿。一体・・・」 「私!・・・剣心を信じてあげられなかったの。剣心が女の人と一緒にいること が許せなくて・・・。ごめん、ごめんなさい、剣心」 ただ謝ることしかできない 抑えていた涙が自然とあふれ出てくる こんなに剣心が好きなのに。大好きなのに信じてあげられなかった こんな自分が嫌になる すると暖かな指先が薫の涙を拭った 「薫殿が気を病めることはないでござる。悪かったのは拙者だった。 自分で探せば良かったのに人に頼って・・・。そのせいで薫殿につらい 思いをさせてしまった。すまない、薫殿・・・。これ、弥彦達が話して しまったけれど」 薫の手におかれた細長い木箱。蓋をとるとそこにはキラキラと光る 宝石のような髪飾りがあった。赤色の布の上に置かれ紫、青の二色が 動かすと同時に光を反射して映っている 「綺麗・・・・」 「さっきの人に案内してもらって買ったでござる。『長い黒髪の女性に似合う 髪飾り』を選んでもらったでござるよ」 「おい、薫。つけてみろよ」 「う、うん」 「薫殿、拙者がつけてあげるでござる。後ろを向いて」 薫から髪飾りを受け取ると薫の背後に周り薫の髪のリボンを解くと下ろされた髪 を束ねて髪飾りをつけた 「やはりよく似合うでござる」 「薫さん、綺麗」 束ねられた髪に光る髪飾りはキラキラと輝き、薫の黒髪を目立たせている 「おい、燕。ちょっと・・・」 「え、なに?弥彦君」 「いいから来いよ。剣心」 燕の手をひきながら弥彦は剣心に向かってめったにしないウインク その事が分かったのか剣心はうなずいた 剣心の返事をもらった弥彦は燕を連れてそそくさと部屋から出て行った 「弥彦、いったいどうしたの?」 「さぁ、それより薫殿。拙者の話を真剣に聞いてほしいでござる」 「何?」 「今回の事で聞きたいことがあるでござる。薫殿は拙者が女の人と一緒にいる のを見てどう思ったでござるか?」 「え・・・・・・・」 突然の質問に言葉がつまる。だが、自分を見つめる剣心の目は真剣だった 「すごく嫌だった。胸が苦しくなって・・・・耐えられなかった」 「では、そう感じたのはなぜだかわかるえござるか?」 薫はこくんとうなずいた 「私が・・・・剣心を好きだから・・・・」 この言葉を口にしたとたん薫の顔は一気に赤面した ずっと言いたかった言葉でもいざ言ってみればすごく恥ずかしい 胸の鼓動が高鳴る。薫は何の反応も見せない剣心をそーっと見ると 剣心は優しい笑顔を薫に向けていた 「剣・・・心・・・・?」 「ありがとう、薫殿。拙者も薫殿が大好きでござるよ」 「どういう意味で?」 「おろ?もちろん一人の女性としてでござる。・・・拙者もこれでようやく 決心がついたでござるよ」 「決心って・・・?」 剣心はたずねる薫に柔らかい笑みを見せ、薫の両手を取った 薫は不思議な気持ちで剣心をい見上げる 「薫殿、拙者は昔、巴を妻に選んだ。だが、巴は拙者の前から消え、拙者は心のよ りどころをなくした。・・・そんな時、薫殿に出会ったでござる」 「剣心・・・・」 「薫殿は明るくておてんばで時にはドジをしたり。でも優しい心は誰にも負けない 拙者はいつしかそんな薫殿を・・・・」 「・・・・・・・」 「薫殿を・・・愛しく思うようになった」 「!!!」 「拙者は薫殿が好きだ。だから・・・・」 剣心はそう言いながら薫を抱きしめた 薫も突然の事に驚いている 「拙者のそばにいてくれ。拙者の支えになってくれ。拙者と・・・・」 「剣心・・・・・」 「拙者と・・・・結婚してくれ・・・・」 「!・・・・・・うん!」 薫の目は次第に涙があふれ、剣心の胸に顔を埋める 剣心もまた薫を強く抱きしめた 次第に夕日がふすまを通り二人を照らす 夕日の光照らされた剣心の思いがこもった髪飾りは 二人の幸せを表すかのようにいつまでも光り輝いていた |
優月さんから頂きましたv ヤキモチ薫ちゃんめっちゃ可愛いですわぁ…。 食べちゃいたい。 誤解させた剣心も可愛いから許す! 薫ちゃんに免じて。 きっと綺麗な髪飾り、似合っているんでしょうねv うっとりりんです(←?) 弥彦もにくいねぇ、ある意味仲人ですね(笑) ヤキモチ薫ちゃんを力いっぱい幸せにしてね 剣心v 優月さん有難うございましたvv 風花庵四周年お祝いとして【20041125】 |