<薫様LOVEさんより>仮面

 

 仮面

 

  季節は春。

  縁との戦いを終えてそれぞれが自分の道へ進んだ後。

  神谷道場では今、弥彦が左之助の前の家に引っ越すための準備が

慌しく行われていた。

 

 

  「荷物全部持った?本当に一人で大丈夫?ご飯とかたまにはうちに食べに来なさい

  よ!ええと、それから…」

 

  「だぁぁ〜、うるせぃ!寸前になってグダグダ言うんじゃねえよ!大丈夫だっつっ

  てんだろ!?ガキ扱いすんな!」

 

  いよいよ移ろうかと言う時にになって、薫が色々な心配をしはじめた。

心配でもあるし、何より今まで一緒に住んでいた弥彦が出て行ってしまうのが

寂しいらしい。

 

一方、弥彦の方は出て行くのは寂しいが、いつまでも家に居付いて剣心と薫の中を

  邪魔しては悪いと思いできるだけ早く長屋に移ろうと思っていた。

 

「まあまあ薫殿、弥彦とてもう子供ではないのでござるからそんなに心配せずとも

  大丈夫でござるよ。」

 

  弥彦の思いを知っているのか、

剣心はいつまでも不安そうにしている薫をなだめた。

 

  「大体、すぐ近くだし、稽古とかでも毎日会えるんだからいい加減聞き分けのねえ

  ガキみたいに駄々こねてんじゃねぇっての!」

 

 「なっ、何ですってー!?(怒)ちょっと、弥彦!あんた折角人が心配してあげて

  るのに、ガキとは何よ!」

 

  素直じゃない弥彦の言葉に激怒した薫は弥彦の頭をグーでグリグリとこすった。

 

  「痛ぇな!何しやがんだ、このブス!」

 

  「ブスはやめろっていっつも言ってるでしょう!?」

 

  いつまでも終わりそうにない喧嘩にヤレヤレと剣心は苦笑いを浮かべながらなんと

  か喧嘩をなだめようとした。

 

  「こらこら2人とも、喧嘩はいかんでござるよ。弥彦、お主はもういかないといけ

  ないのでござろう。」

 

  その言葉に弥彦は薫との喧嘩をやめた。

 

「あっ、そうだった!それじゃ、もう行くぜ、おい薫!折角剣心と2人っきりにな

  れるんだからやる事しっかりやっとけよ!」

 

  そう言うと弥彦は荷物を掴んで行ってしまった。

 

  「まったくもうっ。何言ってるのよ、あの子はっ!」

 

  そう言って怒っている薫を剣心はずっと見つめていた。

  *   *   *   *   *   *   *   *   *   *   *  

 

「お〜い!薫さ〜ん、緋村〜!」

 

 

「おろっ?」

 

「えっ?」

 

  ある日、買い物帰りの剣心と薫は聞き覚えのある声に思わず声を発して振り返っ

  た。そこには、縁との戦いの後、恵の会津行きに合わせて帰ったはずの蒼紫と操が

  いた。

 

「ええええぇぇぇ〜〜〜!!?葵屋で火事〜!?」

 

  所変わってここは神谷道場。

買い物の帰り道に蒼紫と操に逢った剣心と薫は帰宅し

  た後、蒼紫達がここに来た衝撃の理由を聞かされた。

調理の後の火の不始末で葵屋が火事になってしまい全焼という最悪の事態に。

立て直しにしばらくかかるから、

  東京の所にしばらく世話になって来いと翁に言われて来たらしい。

 

「そういう事でしばらく世話になる。」

 

  語り終えた後、無表情で言う蒼紫と嬉しそうな操に、弥彦が出て行って寂しかった

  薫は嬉しそうだったが、剣心はちょっと複雑だった。理由は、弥彦が引っ越して二

  人きりになったのを機会に剣心は薫に自分の想いを告げるつもりだったからだ。

 

(でも、別に二人が居るからといって気にする必要もないかな?今夜二人が寝た

  後、薫を起こして、そして想いを告げよう。)

 

  だが、この判断が薫、蒼紫、操、そして自分を巻き込んだ四角関係を作り出す事に

  なろうとは、そのとき剣心が気付くはずもなかった。

  *     *     *     *     *     *     *

  深夜、皆が寝静まっているのを見計らって剣心は薫の部屋に向かった。

そして薫の部屋の前に来ると剣心はある事に気付いた。

 

(気配が1つしかない?)

 

  いつも操達が泊まりに来ると決まって、操は薫と一緒、剣心はいつもと変わらず自

  分の部屋、蒼紫は空いている離れた部屋に寝ている。だが、薫の部屋からは気配が

  1つしか感じられない。

 

(失礼する)

 

心の中でそう言って、ほんの少し襖を開けて中を見ると寝ているのは少しイビキを

かいている操だけだった。

 

(用を足しに行ったのか?)

 

  起こす手間が省けたと考えながら、薫が居るであろう場所に行こうとして蒼紫が寝

  ている部屋の前を通りすぎようとした時、またある事に気付いた。

 

  (蒼紫の部屋の中の気配が…2つ?)

  剣心はさっきの薫の部屋の中を思い出す。

 

  (確か寝ていたのは操殿だったはず…。今この家にいるのは拙者と薫殿、それ

  に蒼紫と操殿の4人。操殿は薫殿の部屋に居て、拙者はここに居る。拙者に気付か

  れぬように操殿が蒼紫の部屋に行くのは不可能。でも、蒼紫の部屋からは…気

  配が2つ…。まさか…)

 

  今の状況で蒼紫の部屋に居る事ができる唯一の人物の笑顔が頭を掠めるが、そんな

  はずはないと振り切る。ただ、一緒にいて話をしているだけという可能性もあるの

  になぜ、そんなに緊張するのかというと、蒼紫の部屋は灯りが無く、真っ暗。怪談

  話でもない限り、灯りくらいつけるはずだ。だが、怪談話をしている確率は限りな

  く少ない。そんなことを考えながら気配を消して恐る恐る少しだけ襖を開ける。

 

  「んっ、ふぅあっ、やぁっ」

 

  そこに居たのはこの部屋で寝ているはずの男と、その男の下で今まで見た事が無い

  ような妖艶な姿の…

今夜、想いを告げるはずだった愛しい少女だった・・・・・。

 

 

                                           END

薫様LOVEさんから頂きました。

世にも珍しい剣心⇒蒼紫薫←操ちゃんのお話でした。

読んでいてすごくドキドキしちゃいました。

続きがどうなるのか気になります〜!!

薫様LOVEさん、続編の投稿熱烈にお待ちしております!

かなりどろどろしてますがこれからどうなるんでしょうかv

 

薫様LOVEさんは小説投稿用フォームを利用して

ご投稿くださいましたv皆さんもご気軽にv

 

 

            2004.9.27 up

BACK