小鳥さん |
ずっと一緒
雪の降る寒い朝。 神谷道場はこんなに寒いのに、1人の女性と1人の男の子の竹刀を振る音と、大きな声がした。 神谷薫と明神弥彦だった。 「違う!弥彦、ここはこうなのって何度言ったら分かるの?!」 「うっせードブス!」 「師範代にむかってなによその態度は!?」
またしても喧嘩。こんなのが3日続いていた。 「薫殿、洗濯物取り込んだことだでござるよ。」 ひょこっと道場に顔を出したのは剣心。こんな寒いなかでよく洗濯 物を取り込んだことだ。 「お仕置きよ!!!!」 ビュッ!と竹刀を投げた薫。 「べーだ!」と、舌をだしてかわした。しかし、 ガーーーーーーーーーーーーン!!! と、誰かにあたったような音がして2人は入り口を見ると、 「お、おろろろろろ、、、、、、、。」 と、剣心が目をぐるぐる回して倒れた。 「「け、剣し〜〜〜〜〜〜〜〜ん!!!!」 【5分後】 「おろ?」 「あ、剣心!よかった。大丈夫?ごめんね。まさか剣心が居たとは知らずに...。」 「大丈夫でござるよ、薫殿。」 薫は安心した。2人はお互いに笑った。 「おっ、剣心!気がついたか?ちょうどよかったぜ。」 「おろ?どうしたでござるか?」 「弥彦、あんた何持ってるの?手紙みたいだけど?」 「あー、これさっき変な奴から、「緋村様に渡してほしい。」って、言われた。」 と言って弥彦は剣心に手紙を渡した。紙は少し古かった。 剣心は手紙を開いて読んだ。薫も見ようとしたが、
「薫殿、見てはいかん!!!」 と、突然大声で言った剣心。剣心はすぐに立ち上がって居間をでました。
「夕方には帰って来るでござる。」 と言い残して外へ行き、薫と弥彦を残しました。 「剣心どうしたんだ?」 弥彦が薫に聞いたら、薫は少し涙目になっていた。 「........。」 弥彦は薫を見て、着物の袖をひっぱた。薫はびっくりした。 「や、弥彦!どこ行くのよ?!?!」 「決ってんだろ!剣心の後をつけるんだよ!」 そういって2人は剣心をつけた。小さな橋にいた。 「剣心、誰かと戦うのかな?」 「女だったりして!」
ガンッ!!!!と、弥彦の冗談に怒って殴った。弥彦は倒れた。 「そんなことないわよ!剣心がそんなことするはずな....い。」 薫は弥彦を殴った後、剣心を見た。しかし、そこには美しい桃色の着 物を着た、まだ20代ぐらいの女性がいて、剣心に抱きついていた。 薫は声が出なくて、その場で腰を抜かした。弥彦も見た。 橋にいる剣心と女性は何処かへと行った。弥彦は薫を見た。 泣いていた。綺麗な瞳から涙がでていた。ただ黙って2人がいた橋を見ていた。 弥彦は「しっかりしろ!」と言ったが、あまりのショックで声が出なかった。 薫たちは道場へと帰った。白い雪が道場を包む。 弥彦一人で道場へ行き、練習した。が、 薫は1人自分の部屋で泣いていた。声も出さずに...。 夕方.... 剣心が神谷道場に帰ってきた。少し疲れた感じで...。 始めに向かったのが道場だった。きっと弥彦と喧嘩しながら練習をし ているに違いない。剣心はそう思って扉を開けたが、1人の門下生が休憩していた。 剣心に気づいた弥彦。
「おっ、剣心。おかえり。」 「ただいま、弥彦。薫殿は?」 弥彦は「自分の部屋で泣いてる。」と言った。
薫の部屋へと向かっている剣心。
もしかしたら、薫殿は見ていたのかもしれぬ....。 薫の部屋へとつき、襖を開けた。泣いていた。声もださずに。 「剣...心......。」 「薫殿.......。」
すっ…。
剣心が薫に触れようと手を差し出したが、 「やめて!私に触らないで!剣心は、あの人がいるんだから!私に優しくしないで!」 「薫殿......。拙者の話を聞いてほしいでござる。」 「き、聞きたくない!剣心の話なんて聞きたくない!声も聞きたくない!」 泣いて叫んだ。もうそこには自分を優しくしてくれた女がいない。 その女は叫んで自分を拒絶した。そんなことも関わらず、剣心は薫の腕をつかんだ。 「やめてってば!離して!」 剣心は何も言わずに薫を自分の腕の中に入れようとした。 「わ、私、剣心なんか、だいっ、きら、」 ふわっと薫の体が剣心の腕に入った。薫は驚いて、体が動かなくなった。 あんなに拒絶したのに、大嫌いと言ったとたんに、体が軽くなった。剣心は口を開いた。 「薫殿が拙者を嫌ってもかまわぬ。でも、拙者は違う。拙者は変わらず薫殿の愛しているでござるよ。」 「け、剣…心。」 「愛してる」この一言で薫はまた泣いた。 「ほ、本当?剣心?」 剣心は黙って頷いた。笑っている。これは本気だった。 「前も言ったでござる。どんなに色々な女子が拙者に惚れても、拙者には、 神谷薫殿という大切な女子がいる。拙者は薫殿と約束をした。結婚の約束をした。と。」 剣心は言った。本当は薫だけを愛している。薫は顔を上げて、 「剣心、ごめんね。ごめんね、疑って。」 「いや、拙者も悪かったでござるよ。薫殿に何も言わずに行ってしまったから。」 お互いに謝った。そして、2人は笑った。女の子のような笑い方の剣心、綺麗な瞳で笑った薫。そして、 「剣心、これからもずっと一緒よ。剣心、愛してる。」 「拙者も、これから薫殿とずっと一緒でござるよ。薫殿、愛しているでござる。」 その夜、居間の外に出て剣心は昼間のことを薫に話した。 剣心に手紙を出した女性は昔剣心に助けてもらい、剣心の強さに惚れ て、ずっと剣心を追っていた。そして、剣心の居場所が分かり自分の 気持ちを伝えたが剣心には薫がいる。それを夕方まで必死になって言った。そして、彼女はあきらめた。 薫は少しその女性が剣心に対する思いは自分と一緒だと思った。 剣心を見た。女の子のような顔つきをして、たくさん降る雪を見ていた。薫は笑って、 「綺麗な雪だね、剣心。」 「そうでござるな。でも、薫殿の方が綺麗でござるよ。」と、薫に笑いかけて言った。 「け、剣心・・。」 「・・・。」 顔が真っ赤になった薫。剣心は黙って薫に顔を近づけた。 「剣心…。」 「薫殿…。」 2人は口付けしようとした。が…。 「薫〜、腹減った。早く晩飯にし…ろ…って、何やってんだ!?剣心?!薫?!」 「や、弥彦…。」 練習が終わって、薫の部屋へ行こうとした弥彦。しかし、口付けをしようとしていた2人を見た。 「お、お前ら、も、もしかして…。」 「ち、ちが〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜う!」 「よっ!!熱々だな!こりゃ恵と左之助に報告しなきゃ!」と言って、外へ走りだして行った弥彦。 「待ちなさい!!!弥彦!!!」 「弥彦!誤解でござるよ〜!!!」 剣心と薫は弥彦の後を追った。 2人は弥彦を追いながら顔を見て笑った。 そして、思った ずっと一緒..........
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小鳥さんから頂きました。 掲載が遅くなってしまいまして申し訳ありません(^^; 今回、打ち間違いかな?という箇所が何点かありましたので 管理人の判断で、訂正させて頂きました。 そりゃあんだけかっこいい緋村さん、 惚れる女子の一人や二人、いや三人や四人。(笑) 不安になってしまった薫殿の気持ちを 緋村が見事に解きほぐしてくれました。 それにしても弥彦、邪魔はいかんよ!(笑) ご投稿、有難うございました! 2005.7.24 |