Mermaid Song〜君に会えた奇跡〜        作者:蓮さん

 

 

初めて貴女に会ったのは秋の日のこと。
 
そう貴女と出会えたことは偶然でも理屈でもない
 
運命なんだ
 
初めてあの岩場で貴女と会った時
 
俺はあの綺麗な瞳に吸い込まれそうだった―。
 
透き通るような声
 
綺麗な藍色の髪
 
汚れのない瞳
 
貴女は人魚―?
 

*

 

 君に会えたのは偶然でも理屈でもなくて運命―…。 
  君に会えたのは奇跡なんだ―…。 
  Mermaid Song〜君に会えた奇跡〜
 
  ―おまじないです!― 
  君の声が心に響く 
  ―それじゃまた明日!― 
 
  君の顔が頭に浮かんで離れない。 この気持ちはなんなのだろう…。 
  まさか俺は恋してしまったのか? 
  薫に―? 自分より11歳も下の女に…しかも生徒に…。 
  「先生っ!おはようございますっ!」 
  
突然声をかけられ肩をポンッと叩かれて俺はビックリした。 
  薫が笑顔で話しかけてきた。 可愛い―・・。 
  はっ!ヤバイヤバイ。ダメだ。仮にも生徒だぞ・・薫は。 
  生徒のことを可愛いと思ったのは何回もあることだ。 
  けどそれはまるで生徒達が自分の子供のように思えるからで… 
  薫に思った”可愛い”はまた別の…。 
  
「先生?」 
 
  キョトンとした顔で俺を見る。 
  そういう顔も可愛い…。初めて薫を見たとき・・可愛いと思った。 
  一目惚れ…というやつなのだろうか? でも俺は教師で薫は生徒で。 
  本当はこんな感情、抱いてはダメなはずなのに…。 
  
「ああゴメン。何でもないよ。朝から元気だな。神谷。」 
 
  俺は何事もなかったかのように話かける。 
  薫はキョトンとしていたがすぐに笑顔になって 
  「元気だけがとりえですから!」 
  
そう言った。ドキン―… また胸が高鳴った。やはり惚れてしまったのだろうか… 
  神谷薫という少女に…。 その日、俺はあまり授業に集中できなかった。 
  俺は体育と社会担当。 今日の体育の時間。 
  
「キャーッ!先生っ!危ないっ!」 
  突然、女生徒の声が聞こえる。 
  「え?」 
 
  俺がそう言った瞬間。 
  ボールが顔面に激突した。 
  「あ〜だから危ないって言ったのに・・・。」 
  
雨宮がため息をもらしながら言った。 ならもっと気をつけてくれ。 
  「でも先生。どうしたんですか?いつもならこのぐらいすぐよけるのに。」 
  
今度は泉が言った。確かにそうだ。 いつもの俺ならこんなボールぐらい簡単によけていた。 
  頭が薫のことでいっぱいで・・ 何にも集中できなかった。 
  社会の時間では 
  ボキッ 
  チョークが次々に折れた。 
  
「先生・・。チョークが折れてますけど・・。」 
  瀬田がそう言った。 俺はハッとして新しいチョークに持ち帰る。 
  だが・・ 
  ボキッ 
  再びチョークが折れた。 
  さらには… 
  「ちょっと先生っ!黒板に何書いてんの!?国語じゃないのよ!」 
  え? 
  巻町にそう言われ黒板を見ると俺は詩てきなものを書いていた。 
  「あ・・」 
  
俺はすぐに消した。 そんなこんなで今日一日俺は何にも集中できなかった。 
  仕事の帰り俺はすぐ家には帰らずおでん屋によっていた。 
  俺のいきつけの屋台おでん屋だ。 
  名前は「おでんの斉藤」 
  「ハァ・・・」 
  俺がため息をつくと店主の斉藤が話しかけた。 
  「どうしたんだ阿呆が。ため息なんかついて・・」 
  皿を拭きながら問いかけた。  確かに俺はあまりため息などつかない。 
  「斉藤…きいてくれよきごうとその前にハンペンと糸こんと酒追加ね」 
  俺はちゃっかり注文して話始めた。 
  「ハイハイ・・」 
  斉藤はそう言いながらハンペンと糸コンを皿に持った。 
  そして熱燗を一本、とりだして俺の前においた。 
  +++ 
  「というわけなんだよ・・。あっ卵と大根とがんもね」 
  俺は今日あったこと、俺の薫への気持ちを打ち明けた。 
  斉藤は俺が注文した品を皿に盛りながら言った。 
  「フーン…。まぁお前の好きにすればいいんじゃないのか?」 
 
  盛り付けたものを俺の前におく。 
ちなみに斉藤は警察官もやっており、おでん屋は趣味でやってるそうだ。 
  しかも結婚している。 
  
「いいなお前は。妻がいて・・」 
  俺がそうつぶやくと斉藤はフンッと鼻をならしていた。 
  「お前とは恋愛経験が違うんだよ阿呆が」 
  
斉藤は具を箸でつつき状態を見ながら言った。 
  「最後にウィンナーと巾着追加ね」 
  俺は最後の注文をした。 
  「はいはい」 
  斉藤は注文されたものを皿に盛って俺の前においた。 
  俺は最後に注文したものを食べ終えるとお金をおいて帰った。 
  人に聞いてもらって少しは楽になったような気がする。
  やはり俺は薫に惚れてしまったのだろうか・・。
 
<三章>
君に会えたのは理屈でも偶然でもなくて運命―。 
君に会えたのは奇跡なんだ―。 
 
  夢を見た―。 
  【薫…薫…。】 
  誰―? 
  なんだか懐かしい… 聞き覚えのある声―…。 
  【忘れないで…】 
  何を? 
  【あなたは…人間ではない…人魚…】 
  え? どういうこと? わたしが人魚―…? 
  【人間に恋してはいけない】 
 
 
 薫はその日いつかの剣心みたいにボーッとしていた。 
  (何だったんだろ…今朝の夢…) 
  今日見た夢が頭から離れず授業にも友達の話すらにも集中できなかった。 
  (人間に恋してはいけない…でもわたしは人間なのに…?) 
  薫は自分が人魚だと言われた夢が気になっていた。 
  自分は人間だ。 しかも人魚は架空の生き物であって本当にいるはずは…。 
  あの日。 剣心と始めてあったあの日。 薫はなぜか海へ来た。 
  そう何かに導かれるように。 剣心を見て何か運命的なものを感じた。 
  
「…る!神谷薫!!!」 
 
 突然名前を呼ばれた。 
  今は社会(歴史)の時間である。 
  剣心が薫を見る。 
  
「あっはっはい!!!」 
  薫は突然呼ばれてビックリしながら立ち上がる。 
  黒板にはびっしりと色々書いてあり薫にはまったくわけが分からなかった。 
  
「神谷。授業中にボーッとするなよ。まぁいい。」 
  剣心はため息をつく。 再び教科書をもち薫に座れといって授業に戻った。 
  「えー幕末の頃には伝説の人斬り抜刀斎と呼ばれた男がいて・・」 
  カリカリ みんなノートをとっている。 
  だが薫は今朝の夢が頭から離れずノートをとっていなかった。 
  休み時間。 
  
「薫〜。あんたどうしたの?最近ボーッとして。」 
 
  ちなみに薫が転校してきてから1ヶ月程たち、今は10月下旬。 
  もうすぐ中間テストだ。 
  「ちゃんとノートとったの?」 
  空がきく。 薫はしばらく黙ったがすぐに口をひらく。 
  「実はとってない…。」 
  おずおずと真っ白のノートを見せる。 しずくと空は向き合ってため息をついた。 
  「今日やったとこ中間にでるらしいよ?ノートとらなきゃ中間ヤバイよ」 
  それをきいた瞬間薫は真っ白になった。 
  バサッ 
  ノートを落とした。 
  「マァジデェェェェェェェェエエエェェ!?」 
  
その瞬間。 薫のものすごい声が響いた。 
  ちなみに薫は頭が悪いので一つでもノートをとってないと・・ 
  確実に30点以上は取れない。 
  「お願い見せて!!!」 
  薫は目をキラキラにしてしずくと空に訴えかける。 
  「知〜らない。」 
  空がそう言って教室を出ていく。 
  「自分でなんとかしないさいよ。」 
  しずくもそう言って教室をでていく。 
  空はトイレにしずくは他の友達のとこへ行った。 
  薫はしばらくその場で真っ白になっていた。 
  放課後 
  午後の授業にはかなり必死で受けていた。 追試・補習は嫌だからである。 
  だからそのためにいい点を取ろうと。 だが放課後には薫は頑張りすぎて燃え尽きていた。 
  教室にぐったりと座っていた。 そこへ誰かが入ってくる。 
  
「あれ?神谷。お前何してるんだ?帰らないのか?」 
  どきん 
  「あ、緋村先生。」 
  どきんどきん 
  薫はなぜだが胸がときめいた。 
  剣心に初めて会った時からなぜだか運命的なものを感じた。 
  それから剣心のことが気になって仕方ない―。 
  
(この気持ちは・・恋・・なのね・・。ああそうか。これが恋) 
 
  薫はこの胸の高鳴りが恋だということに気づいた。 
  「神谷?」 
  剣心が不思議そうに薫の顔を見る。 
  薫はニコッと笑って言った。 
  「あっいえ!何でもないんです!!あっそうだ先生!勉強教えて下さい!!」 
  ペコッと頭をさげお願いした。  剣心はフッと笑った。 
  「分かった。じゃあ教科書とノート出せ。」 
  薫は言われた通り歴史の教科書とノートを出した。 
        *
  放課後の勉強会は2時間ほど続いた。 外はもう真っ暗だった。 時刻はもう7:30だった。 
  こんな夜道を一人で歩かせるわけにはいかないので送っていくことにした。 
  
「ハァー。先生。わたしに付き合ってくれてありがとうございました。」 
  薫は剣心のほうを向いてニコリと笑って言った。剣心もニコッと笑って 
  「どういたしまして」 
  と言った。 
  「これでなんとか中間はのりきれるかも♪」 
  そう言って笑う薫の横顔を剣心は見つめていた。 
  どくん 
  剣心の胸が高鳴る―・・。 感情がこみ上げてきた。 
  「本当に先生のおかげです!ありがとうございました!」 
  満面の笑みをむける。 一緒にいるだけでもドキドキするのにそんな笑顔をむけられたら・・ 
  剣心は感情を抑えきれなくなり、手がのびた。 薫の頬にそっと触れる。 
  
「先・・生・・?」 
  不思議そうな顔で剣心を見る薫。 
  剣心はしばらく黙っていた。 
  だが・・じょじょに顔を近づけていく。 距離が縮まっていく。唇と唇が触れた。 
  「…んっ」 
  薫は突然の出来事に驚きを隠せなかった。 
  剣心も自分の行動が信じられなかった。 
  「…んっ嫌っ!!!」 
  ドンッ! 
  薫は剣心を突き飛ばし走っていった。 
  運動は得意なので足は速かった。 
  「薫―…。」 
  剣心は去ってゆく薫の後姿をみながらその名を呼んだ。 
  +++ 
  「…ハァハァ…先生があんなことするなんて…。」 
  薫は歩いていた道から結構離れたマーメイド海岸に来ていた。 
  突然されたキスに薫は心臓がバクバクだった。 嬉しかったはずなのになぜか嫌だった。 
  雨が降っている。 
  
(わたしは・・先生が・・好きなの・・?) 
  薫は自分の気持ちがよく分からなかった。 
  剣心のことが好きだ。けどキスを自分はこばんだ。 
  剣心は傷ついたかもしれない。 
  ザァァァ 
  雨が降っている。 
  薫がしばらくそこにたっていると、今朝と同じ声がきこえてきた。 
  【薫…】 
  誰―…? 
  【あなたは人間に恋してはいけない―…】 
  なんで? 
  どういうこと―? 
  【薫…あなたは人魚…】 
  突然頭痛がした。
  薫はその場に倒れた。 
  「…緋村…先生…」 
  薫の意識はそこで途切れた。 
  ザァァァ 
  雨が降っていた。 薫はたまたま宗次郎としずくがそこを通りかかるまで倒れていた。 
  *
  薫は雨に長時間打たれていたため熱をだした。 そして2・3日学校を休んだ。 
  そしてしばらくして学校に来た。 剣心はあの時のことを薫に謝ろうと話しかけた。 
  
「神谷!」 
  剣心が声をかけると薫はゆっくりと振り返る。 
  なぜか薫の目は虚ろだった。 
  「…誰…?」
 

 

はい、かなりの長編でしたが、第三章までいっきにお送りいたしました。

緋村先生に萌え、緋村先生が教える社会に萌えました(笑)

制服はセーラー服希望、熱烈希望。

まだ左之助と恵さんは出てきませんけど

後半は出てくるかな?

後編は次回更新時に掲載いたします。

感想もそちらでまとめて♪

次回をお楽しみにッv

 

20050228

 

蓮さんは小説投稿フォームを利用して

ご投稿くださいました。皆さんもぜひ投稿してくださいねv

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