*…万葉…*kaoruちゃんThank you★ |
「万葉」 たったふたつのひらがなが。 こんなにも心を熱くする。 計測器の目盛りを簡単に振り切って。 絶頂寸前。 快感目前。 上り詰められるかどうかは、あなた次第。 怖くて、意図せず潤んだ瞳になる。 あなたの言葉が胸に痛い。 他の誰かとの別れを「旅立ち」だと見送ることは。 ――多分できる。 淋しさを胸の奥に押し込めて笑うことも。 けれど。 「けど――……」 血の色の空に闇色の鳥が鳴く。 なかなか言葉が見つからなくて少し戸惑う。 惑い、揺れた視線にあなたの背中を認めた瞬間。 「私は、剣心と一緒にずっと居たい」 言葉が、胸を突いて出た。 あなたが、弾かれたように振り返る。 風に揺れる緋色に彩られた表情は驚愕。 落ちた沈黙に、鴉の音。 ふたつ、みっつ重ねて聞える。 それよりも響くのは自分の鼓動。 耳朶のすぐ横で規則正しく、大きめに。 トクン…トクン。トクン。トクン。トクン。 緋い光に遮られ、俯いたあなた。 表情は見えない。 「…拙者は」 僅かに戸惑って応えようとしてくれる。 けれど、私は決定的な「旅立ち」が怖くて。 わざと遮って早足で帰宅を急ぐ。 息をすることすら苦しい激しい鼓動。 ねぇ、私はまだ「旅立ち」だと笑えない。 笑って誤魔化して茶化して。 煙に巻こうとした瞬間、肩を抱かれた。 壊れ物を扱うような繊細さで。 戸惑いがちに触れた指先に。 肩を抱かれた。 凛とした声で。 紫水晶の瞳で。 耳元にそっと告げられた言葉に頬が染まる。 「…そう、なんだ…」 俯いた唇でそれだけを口にするのが精一杯。 「ああ…そうでござる」 応えるように響いた声音も。 照れた音色。 宵闇に潤んだ白月。 纏う雨音は蜜の色。 解かれた艶やかな帯の上で。 ふたつのひらがなを交換したら。 破瓜の宴を始めましょう。 |
なんて繊細な文章なんでしょうかvkaoruちゃんから頂いた物デス☆ さすがkaoruちゃん!!!って感じの作品でした。 読んでいるこっちがドキドキしちゃいましたよぉ。 原作にある場面の薫ちゃんの気持ちがよく伝わってきました。 Kaoruちゃんの作品がもっと読みたいよ〜!という方は るろうにリンクのYoursColorというサイトへGO!即お気に入り追加ですヨ★☆ 2004.9.7 |