*紅雨さんより頂きました。

 ミサンガの願い事

 

 

 

 

 

           十五歳 元服 逆刃刀 

 

             俺は十五になった

 

               元服だ

 

        いつか左之助から教えてもらった気がする

 

            大人と同じ扱い・・・・・

 

         そして 俺は逆刃刀を受け取った

 

         日本一強く 俺が誰よりも憧れる男から

 

 

            「強くなりてぇ」

 

 

         そう もっともっと あの男に追いつくため

 

 

 

 

 

  道場からどれくらい走っただろう

  俺は今日から十五・・・ もう大人だ

 

  剣心から手渡された逆刃刀 おもってたよりずっとでかくてずっと重い

 

  これがあの男の人生の重みなんだろうか・・・

 

  そんなことを想いながらもただただ走る

  何処へ行こうか考えても無かったが気が付けば「赤べこ」にいた

 

  「燕!!!!」

  それから先 なにを言おうか考えてはなかった・・・

  ただ こいつの名前を叫びたかっただけ・・・・

 

  「あっ 弥彦君  どうしたの?? そんな息切らして」

 

  「あっ いや・・・ 別に」

  何を言おう 俺はこいつに会って何を言おうとしたんだ

 

  自分でもわかんねぇ

  「ちょっとぉ 弥彦君 女の子呼んどいて 別に ってないんちゃう??

   なんか用事があたったんやろ??」

 

  奥から関西弁でこの店の女主人 妙が言う

  「えっ あっ ああ いや別に・・・その・・・」

  「弥彦君???」

  「もーーう どっちなん??? 燕ちゃんに用があったんとちゃうん??

   男らしゅうないよ!!」

 

  そうだ 俺はもう大人だ 元服だ 自分のことはちゃんと・・

 

  「ええよ 燕ちゃん きょうはお客さんも少ないし 弥彦君とでかけておい

  で」

 

  考えてるうちに妙が助言をしてくれた

  そう俺は燕と話がしたかった

 

  「でも・・・」

  「いくぞ 燕!!!」

  そういって俺は燕の手を引いて店の外へでた

   心の内ではものすごく妙に感謝をしながら・・・・

 

 

 

  ちょっと散歩をして(笑) ある場所へ着いた

 

  東京の下町が全て見渡せる山・・・

 

  しばらく景色を眺めてると

  「弥彦君  いい眺めだね」

  「ああ そうだな」

  ちょっとした会話

 

  なにを話そうか迷う というか話したいことは山ほどあるのだがどれから話

  そうか・・・・  てゆうか なんで俺こんなに緊張してんだ・・・

 

  でもまぁ 逆刃刀のコトくらいは教えなきゃなぁ・・・

 

  「燕 俺 逆刃刀 受け取った・・・・」

  燕はびっくりした様子でこっちを見る

 

  「触ってみるか??」

  「えっ いいの??」

  「あぁ  ただしちょっとだけだぜ」

 

  そういって燕に差し出す

 

  「・・・・おもいね」

  「あぁ  これが 剣心の人生だと思う

   あの男のおもみ」

  「そうだね  きっと・・・・」

  一拍おいて自分の思いを打ち明ける

 

  「俺さぁ・・・・ すっげぇ嬉しいんだ あの剣心の刀を受け取るんだぜ

   一歩近づいたって思う けどな・・・」

  「けど・・・・??」

  「不安なんだ  俺が受け取っていいのか  

   俺がちゃんと剣心の想いを受け継いでいけるのか

   ちゃんと背負いきれるのか」

 

  そうこれが本当の想い 俺らしくないことは分かってる でも不安になる

  弱気になる

 

  「弥彦君・・・・」

 

  燕はいつもこんな顔だ

  いつも俺を心配して 見守ってくれる

  だから俺は燕に言えるんだ

  かっこわりいけど

 

 

 

    

 

 

 

  「弥彦君 目つぶって 右手出して・・・・」

 

  突然燕が言った

 

  「ハァ?? なんで!?」

  得意の口悪癖・・・ 大人なんだから治さなきゃなぁ でももう無理だろ

  う・・(笑)

  「いいから はやく!!」

 

  まぁ一応言われたとうりにしてみる

    何するつもりだ??

 

  「はい いいよ」

 

  燕の声で目を開ける

 

  右の手首には 綺麗ないろの飾りが・・・

 

  「んだよ これ!!!」

  「ミサンガ っていうんだよ 異国のお守り」

 

  「異国ぅ?? なんで俺が異国のお守りなんか身に着けねぇとなんでぇだよ

   しかもこれ女っぽ・・・」

 

  しまった 言い過ぎた・・・・・ けど取り消すことはできねぇな

  燕は  泣いてるかな??

  うつむいてる彼女を見てそう思う  いつも俺が泣かすんだよな

 

  「つっ 燕・・・ わりぃ 言い過ぎ」

  「これから弥彦くんはいろんな闘いして昔の剣心さんみたいに流浪して人助

   けをするかもしれない

   でもきっと 無事じゃすまないでしょう??どんなに強くても

   怪我はする・・・・ そんなの嫌なの ぜったい・・・」

 

  俺が謝る前に燕が言葉を遮る 大声で・・・

  「えっ??」

  燕が大声で怒るなんて 初めてのような気がする

 

  少し間をおいて

  「この紐はね お守りのほかにもまだ役に立つんだよ だから作ったんだ

  よ」

  いつものやさしい声

  「ほかにって??」

 

  「内緒★」

 

  「なんだよ それ」

  俺は膨れっ面をした

  ちょっと腹立ったな

  でも・・・・・

 

  「弥彦君 元服 おめでとう 」

 

 

  君の優しい笑顔

  剣心が守りたい薫の笑顔と一緒だな

 

  「おまえ いつからそんなに綺麗になった??」

  無意識にそんな言葉が出た

  本当にそう思ったから

 

  呟いた声に燕は反応した

 

  「へっ いや綺麗になんてなってないし いつまで経ってもびくびくおどお

  どだし まだまだ子どもだよ」

 

  「 へっ そうだな」

 

  「もう どっちよーー」

 

  少々膨れ顔になった燕の顔を見て 笑ってやる 

  本当に楽しかったから

 

  俺はこのままでいけそうな気がする

  逆刃刀は確かに重い

 

  いろんな意味で俺には重過ぎる

 

  でもこいつとなら持つことが出来る

 

  いっしょに支えあいながらできる

 

  燕となら・・・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

  後日聞いた話・・・

  ミサンガのもう一つのいみ

 

  紐がちぎれたとき その時願いが叶う

 

  燕はどんな願い事をしたんだろうか

 

   

   

 

 

 

 

 

 

きゃーん、可愛いッ。

28巻のあとの弥彦燕のお話でした。

 

そうですよねぇ、絶対あのあとは燕ちゃんのところに

直行ですとも。

そうですとも!

 

もう、弥彦ったら燕ちゃんの願い事くらい検討つくだろぉ

この色男ッ!

 

ミサンガをあげた燕ちゃんの弥彦を思う幼い恋心と

自分の燕への想いに自信を持ち始めた弥彦、

そんな二人の幸せストーリーでしたv

有難うございましたvv

 

 

 

<四周年祝い品として 20041115>

 

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