*…桜と想い…*by聖くん。 |
† たった一言『好き』と言えたら どんなに楽になるだろう この想い桜に乗せて君に送りたい †
桜の花びらが、闇を漂う。匂いも無く、ただ鮮やかに咲いて散って行く。 夜闇に映える其れは美しく 儚ささえも花の装飾だった。 「…ねぇ、剣心?」 剣心と肩を並べている薫が、ふと名を呼ぶ。 おろ、と剣心は何時ものように薫を見遣る。 花びらが、二人の眼前をかすめて落ちた。 「…何だっけ?」 「は?」 『何だっけ』と訊かれて答えられるわけが無い。 う〜ん、と唸り出した薫の声は虚無に響く。 「………?」 剣心の疑問符は風の音にかき消され、微妙な沈黙だけが残る。 「あぁ、そうそう。弥彦と燕ちゃんの事。」 思いもよらなかった言葉に、剣心は目を丸くする。 何で二人だけの夜にあの二人の事まで心配しなければならないというのだろう、と。 そんな剣心の想いも知らずに、闇の中薫は言葉を紡ぐ。 「あの二人ね…何で何時まであのままなんだろう、って聞こうと思ったのよ。うん。」 無邪気な笑顔を浮かべる、薫。 其れを剣心はどんな風に受け取ったのであろうか。 「其れは…」 複雑な笑みを浮かべ、剣心は問いを返すべく言葉を発する、 しかし其れは想いとは全く反対に紡がれてゆく。 「拙者達も同じでござるよ、きっと…」 言葉を発してから気付く、言葉の重大さと意味不明さに。 一度発せられた言霊は消えない、示すように時は流れる。 僅かな、ほんの僅かな時間。時間とも呼べないほどの。 「剣…心?え?な、何が同じなの?」 無邪気な笑みが、困惑の表情へと変わる。 今まで、一回も紡がれた事の無い言葉。困惑が浮かぶのも無理は無く…。 「わ、忘れてしまっても良いでござるよ?き、きっと拙者頭がおかしいんでござるな、アハハハ」 頭をかしかしと掻く剣心の顔には、何処か照れている笑顔と、罪悪感が入り混じっていた。 桜の魔力の所為かもしれない、と剣心は思う。根拠も無く、ただ桜の所為にして……。 「…剣心!!」 「は、はいぃ?!」 突然の大声、怒りでもなく悲しみでもなく、ただ無邪気で、 何も穢れていない声。透き通った硝子のように…。 「わ、私も…あの、その…思ってた。何時まで、 『同居人』と『宿主』の関係なんだろう、って。」 薫までもが頭を掻く。照れて、顔を夕日のように染めながら。 「お、おかしい…かな?」 アハハ、と笑みを浮かべて、薫の視線が泳ぐ。 「…おかしくないきごうでござるよ。薫殿がおかしかったら、拙者もおかしいでござる。」 ふわりと、笑みを浮かべて剣心が言う。何処かくすぐったい笑みが、妙に心に染みた。 『剣心』と小さく呟いて、剣心の胸元に顔をうずめる。 今まで、傍に居るだけだった分、甘えたい衝動にかられた。 剣心の手が、優しく、薫を包み込んだ。『もう、離さない』とでも言うかのように。 † 桜が、君が、俺を狂わせた 甘い香だけが闇を包み込んで その香に身を任せ、二人で漂いたいと思った この時代の川の中で、離れずに † ---終--- |
ぎゃーす!甘い、甘すぎる!!久々にるろ剣小説書いたんで、かなり甘いですな。剣心大胆過ぎ。きっとこの後は・・(むふv/をい)えーと、胸焼けしてきたんで、退散します。甘いものは胸焼けしますな(ちょっと違う)と、とにかく、聖でした〜(汗) 聖くんよりアトガキでしたvvかなりツボツボな作品!有難う御座いましたぁ★ |