*…そばにいるだけ…*by雪菜サン

『そばにいるだけ』

 

出会った頃は

ただ、見守るだけしかできなくて

出会ってからも

アナタの横で下を向いて過ごしてきた

 

いつも

いつも

頼ってばかり

 

 

 

出会った頃は

ただ、君の前で強がって

出会ってからも

何一つしてやれなくて

 

いつも

いつも

不安にさせてばかり

 

 

 

 

「ねぇ、弥彦くん。」

 

「ん?なんだ?」

 

 

此処は赤べこの二階。

いつものように二人で昼食をとっていた。

 

 

「私、弥彦君の役に立ってるのかな?」

 

 

燕の瞳はいつもの目とは違い真剣で・・・・

 

 

「おまえ、いきなりない言い出すんだよ!」

 

 

弥彦は急な燕の言葉に動揺していた。

顔が思わず、苦くなっていく

 

「だって、弥彦君の隣にいるだけ、ただ、いるだけ・・・」

 

今にも泣き出しそうな燕

 

「そんなことねぇよ!いつも燕はおれに力くれるだろ!」

 

その言葉を聞いて一度笑顔をみせた燕だったが

なぜか悲しい

 

どうしてこの人は

こんなに強いのだろう

 

私が力をあげてる?

こんなに弱い私が側にいない方がいい。

 

 

「だって、もう無理なの。」

 

ただただ、呆然としていた

燕をここまで追いつめていたとは

そんな気持ちだけが頭の中を空回りしていた

そして・・・・

 

「ごめん、ごめん・・・・・。もう、縛らないから・・・・・ごめんな。」

 

燕も弥彦の言葉に呆然としていた

弥彦はまた口をひらいた

 

「いままで、何一つしてやれなくて、ごめん・・・。」

 

そういうと立ち上がり、出て行った・・・・・。

 

のこされた燕は涙も出ない

涙なんかでない。

ただ、弥彦の言葉が頭からはなれなかった

まるで人形のように

 

 

           

 

 

 

 

 

燕―――――――

 

あれから弥彦はいちども稽古をしていない

どこを見ているのかも分からずボー―っとしていた

その様子を見た弥彦の憧れ、剣心は弥彦に問いかけた

 

「弥彦。」

 

「・・・・・・。」

 

ここまでに元気のない弥彦を見るのは、剣心も初めてだった。

 

「なにがあったんだ?」

 

「別に……」

 

剣心の方を見ることもなくつぶやく

 

「燕殿となにかあったのか?」

 

一瞬、剣心の言葉に反応した弥彦 。

その反応を剣心は見逃すはずがなかった。

 

「……。」

 

「話してみろ、弥彦。」

 

剣心の目をみると、なにもかも見透かされているようで

弥彦は剣心だけにそれを話した

 

――――――――――――――――――

 

 

「そうか…」

 

「俺、何もしてやれなかった。」

 

 

そんな弥彦を見かねた剣心は弥彦に一言

 

「弥彦。おまえが燕殿のことが好きなら、なにがあっても側にいてもらえ。」

 

「だって、あいつは側にいたくないんだぜ…?」

 

弥彦は、その言葉に疑問を感じていた

 

「それは、ちがうでござるよ。燕殿は側いたいんでござるよ、きっと。ただ、なにか不安なんでござるよ」

 

「なんでそう思うんだよ…」

 

「拙者にもわからぬよ。自分で燕殿に聞いてくるでござるよ。」

 

剣心の妙な説得力に負け、弥彦は赤べこに向かった。

 

                           

――――――――――――――――――――――

 

 

「いらっしゃいませー♪」

 

店に入ると、妙がいた。

だが、燕の姿は見られなかった。

 

「あら、弥彦君。燕ちゃんなら上にいるわよ。」

 

すべてをさとったかの様に弥彦に言った妙。

 

「あぁ、ありがとな。」

 

 

トントン――――――

 

二、三度ノックすると中から燕の声がした。

 

「どうぞ…。」

 

中にはいると、燕の顔が固まった。

無理もない、弥彦に会っているのだから。

 

「燕、もう一度話したい。」

 

弥彦はいつもより低い声で、真剣に燕にそう言った。

燕の弥彦の真剣な気持ちに気づいていた。

 

「うん……。」

 

そういうと弥彦は燕の隣に寄り添うように座った。

そして、口を開く。

 

「俺、そばにいて欲しい。」

 

「弥彦君…。でもそれはできないよ…。」

 

燕は下を向き、言った。

 

「なんでだよ!俺は、オマエが側にいないと、生きていく自信がない。」

 

「だって、弥彦君の側にいるだけ、なにもできないもん…いつも迷惑かけちゃうし。」

 

「迷惑じゃねぇよ!なんでだめなんだよ、聞かせてくれ。」

 

剣心が言っていた。燕は俺のそばにいたい、けどいれないと。

その理由が知りたい。どうしても、そばにいて欲しかった

 

「弥彦君の側にいるだけで、なにもできな自分がもどかいしの。心に、側にいていいの?

 っていう気持ちがあって、笑う弥彦君みると、心が痛むの。すごく、不安になるの。」

 

弥彦は・・・・・・

 

「俺は、お前のこと支えたいんだよ。なにもできなくたっていいんだよ、いるだけで

 お前がいるだけで、おれは強くなれる。頼むから・・・・・そばにいてくれよ・・・。」

 

涙―――初めて見る涙、あの強い弥彦君が泣いてる、自分のために

弥彦の涙を見た燕は、なにか心が落ち着いた。

きっと自分はこの涙を流させてはいけない

自分のために流してくれた涙をむだにしてはいけないと思った。

 

「ごめんね、弥彦君。私のためにごめん・・・・。側にいます、ずっと。」

 

「燕――――。」

 

「なにもできないくても、悲しい時、寂しい時側にいるから。支えるから。だから泣かないで。」

 

そう言って優しく弥彦を抱きしめた。

そして弥彦も燕を抱きしめる。

 

「なにもできないかもしれない。けど、側にいることですこしでも弥彦くんの力になるから。」

 

そういうとニコッと笑って、優しい笑顔を見せる。

 

「あぁ、ありがとう。俺も、何1つしてやれねぇけど、側にいるから。」

 

弥彦もまた、笑顔。

 

二人は理屈で側にいるわけではない。

お互いなにもできないけど

側にいるだけで、お互い強くなれる、心が通じ合う。

二人でいるから、強くなれる。

 

 

 

 

 

悲しい時、辛い時

側にいられたらいい

話をしなくても

悲しんでいる理由を聞かなくても

ただ、いるだけ。

好きな人のためにできること

楽しい時に側にいて

一緒に過ごす事も

それとともに

悲しい時にそばにいて

静かに見守る事も

 

そばにいるだけでいいなら

それが

お互いの力になるなら

ずっと側で支えていくから

 

 

 

そばにいるだけ。とってもいいお話でしたね〜★きっと二人はそばにいるだけで十分なんですよ!!

最後の詩もとてもスキです★こんな恋がしたいですねー!(お前いくつだよ)

やひつば小説ってホント可愛いですよねぇv私もがんばろうっと。雪菜さん企画にご参加いただきまして有難う御座いました。

感想などはBBSで☆                                                      2002.2.22 up

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