*…夢と現実…* |
夢と現実
―――ここは?――――― 「剣心 こっちよ」 どこかで声がする 暖かくて 純粋で 俺を見守ってくれそうな声がする きみは どこにいるの?? 「剣心 こっちだってば 早くしないと・・・」 影がみえた ――待って 俺をおいていかないで 君は誰なんだ??―― 追っていく 一番大切な人なのに 名前が思い出せない それでも俺は追い続けるんだ 一人ぼっちは もう 嫌だから どのくらい走った?? 俺が追いつけないなんて 影が見えなくなった でも声がする 「助けて 剣心・・・・ たすけて・・・けん し ん」 はっと振り向く 隣には血まみれの君 ――君は・・・ か おる??―― 「かおる?? 目を覚ましてよ・・・ かおるーーーー!!!!」 ん・・・・ ここは? いつもの神谷道場 いつもの夜 いつもの君 穏やかな寝息をたてている 「・・・・夢 か」 苦笑まじりに呟く 最近どうもこういう夢が続くような気がする 俺にとって もっとも残酷な 夢 まだ 夜も明けていない 酒でも飲むか・・・・ 縁側へ座り 月を眺めながら酒をたしなむ 「月見酒・・・か」 ふと思う・・・ 俺がここにいてもいいのか?? 彼女を守ると決めた 巴にも約束した でも あの 夢 が 夢 でなくなったら?? 俺は どうするだろう・・・・ 後を追うのか?? それとも一生流浪し続けるのか?? やめよう 酒がまずくなる ふと 足音がする 誰かは分かるが・・・ 「剣心・・? どうしたの こんな夜遅くに」 俺を心配してくれる その声 「別に・・・ ただ 月を見て 酒を飲みたくなっただけでござるよ」 適当にはぐらかしたが 彼女は嘘だと分かるだろう すぐ隣に彼女が座る 「ねえ 私はあなたに隠し事や嘘なんてしない いつも本当の自分でい たい から でも貴方は いつもはぐらかすのね」 「薫殿・・」 「ねえ お願い 役になんて立たないと思うけど あなたのこと もっと よく知りたいの 一緒に悩みたいの それじゃダメか・・な??」 正直言うと やっぱり 彼女にはこんな姿 見られたくなかった とてもかっこ悪くて 見せられないと思った・・・ でも・・・・ 「くす・・」 「な・・なにがおかしいのよ 私は本気で言っているのに」 「い・・いや 薫殿には やっぱりかなはないなぁ と思って・・」 嬉しかった・・・ 君が本気で心配してくれたから ごめん 黙ってて やっと 言える勇気が出たよ 言葉で伝えるより 体が先に 動いてしまった・・・ やさしく でもどこか力強く きみを抱きしめる 「ちょっと・・・ け・・んしん どうし・・ ん・・・」 きみの言葉を最後まで待てず 口付けを交わす いつもよりずっと深く 名残惜しく口を離す 「ごめん黙っててちゃんと話すから 聞いてくれるでござるか??」 彼女は黙って 頷いてくれた 「夢を見たんだ 薫殿をなくす夢」 「わたしを??」 「あぁ 病気で死ぬ夢 事故で死ぬ夢 ・・・・・」 「剣心??」 「君が殺される夢 また守れなかったんだ・・・」 特に最後は ・・・ 考えるだけで 涙が出てくる・・・・ 「け・・んしん」 泣いてる俺を 彼女は優しく抱きしめてくれる 優しい声で 純粋な声で 暖かい声で でもどこか涙でかすれてる声で 俺を読んでくれる 剣心 剣心 ・・・・と どれだけ時間が経っただろう 彼女が口を開いた 「大丈夫だよ 貴方はもう一人じゃないもの・・・・ 弥彦がいる 燕ちゃんや 妙さん 遠くへ行けば 恵さんに左之助 それに 葵屋の皆だっている それに・・どんなことがあっても 私はあなたを一人にしない 絶対にね」 薫殿・・・ 「それに そんなに簡単に死ぬほど私はやわじゃないわ!!!!」 あぁ そうか 俺にはこんなにたくさんの仲間がいて たくさんの幸せがあって 君に守られてるんだな 俺が 守ってるんじゃない 守られてるんだ・・・・・ 「薫殿・・・ ありがとう」 そういって 俺はまた不意打ちに近い状態で振り向いた彼女に口付けを する それは 長く そして 深い・・・ この日の俺たちのように・・・ 「さぁ 寝よう・・」 ふたりは 寝床にはいる 「おやすみ 剣心」 「おやすみ 薫殿」 こんな 瞬間が ずっと 続きますように
END |
紅雨さんから頂きました。 剣心と薫のお話でした。 剣心の心情がストレートに 伝わってきましたね、 せつないです(><) そしてなんか色っぽいというか艶っぽいというか ちゅーが多いですねぇ(ニヤリ) 読みながら静かに赤面してみたりして(笑) 紅雨さん、素敵な小説有難うございましたv 2004.12.11 |