ずっと <雪菜様より> |
ずっと
そんな言葉を神谷道場で聞いた燕。 おもわずこんな言葉がでた。 ―弥彦君、私が夕飯持っていってあげるけど?― こんなこと言うつもりじゃなかったのに…… なんて思いながらもそうなったらいいなぁ、なんて思っている自分がいた。 ―いいのかぁ!?じゃぁ、できれば寒いから鍋がいいなぁ、俺― 弥彦の方は燕と二人っきりで夕飯ということよりも美味しい鍋が食べれることに 喜んでいるらしい。 燕はそのことにまったく気づいていなく、一人でドキドキしていたようだが……。 少しうつむきながら、優しく言う。 ―じゃあ、あとで持っていくね― ―お〜、よろしくな。― ************************ 「寒くなったな〜、もう師走だもんね」 そんな独り言をいいながら弥彦の家へむかう燕。 そんな姿からは小さな少女から確実に大人になっているのがよくわかった。 コンコン―――――― 小さくたたくと中から15歳とは思えないほどの容姿の少年が出てきた。 「ありがとな、まぁ汚いけどあがれよ」 ちょっとぶっきらぼうに……でも優しさを込めてそう言う。 そんなぶっきらぼうな言葉にも燕は満面の笑みで答えるのだった。 「うん、ありがとう。」 中に入ると思ったよりきれいな部屋。 所々に、急いで掃除したという後が見えるが(笑) そんな部屋の風景に思わず吹き出してしまう。 「クスッ」 「おい!なんで笑うんだよ!!」 まるで沸騰したやかんのように顔を真っ赤にして怒鳴る弥彦。 だがここでは一枚、燕が上手だったようだ。 「別に、なんでもないよ♪」 昔は弥彦が怒鳴ると泣き出しそうな顔をしていたに最近はやけに強気な燕。 ちょっとは弥彦に近づけたようだった。 「おし!じゃぁ、さっそく食おうぜ!」 「そうだね。」 鍋のふたを開けると、とてもたった十五の少女が作ったとは思えないほどの 立派な鍋がでてきた。きれいに切られている具、だしがよくとれて色づいている汁。 それは誰が見ても美味しそう!と思う鍋だった。 「すげ〜な、これお前が全部つくったのか!?」 「うん、そうだけど?」 でも本人は普通に鍋を作ってきたという顔。もっとも愛情はこもってるが……。 「うまそう!いただきます。」 そういうと今まで大人っぽく振舞っていた少年がいつのまにか少年の姿に戻る。 次から次へと口の中に入っていく鍋の具たち。 それを見て燕はうれしくなる。 「おいしい?」 そんな言葉をかけるつもりはないのにどうしても「おいしい」という姿が見たかった。 弥彦は願いどうりに、 「すっげ〜うまい。」 すると燕はうつむいて顔を赤くする それを見て弥彦も赤くなる 「…………」 「…………」 お互いに赤くなり言葉が出なかったのだが沈黙を破ったのは弥彦 。 「ほら、お前も食えよ」 「うっ、うん!」 そういうと燕は口に具を運ぶ パク――― 「うん、おいしい。」 文字どうり、天使のような微笑みだった。 弥彦は見惚れる……。 でも燕はきょとんとしていま自分が天使のような微笑みをしたことに気づいていない。 「ん?どうしたの?弥彦くん」 「い、いや!なんでもない。」 慌てて我に返る 「?そう?ならいいけど」 なにがなんだか分からない燕だったがあまり気にしなかった 突然弥彦が燕の名前を呼ぶ 「燕………」 「ん?」 「来年もずっと一緒に鍋食おうな、ふたりで」 いままでいえなかった大切な気持ちがいま伝わった。 燕も……… 「そうだね、ふたりでずっと……」 「あぁ、そうだな。」 二人は照れくさそうにしてまた、笑った。 ゆっくりと変わっていく二人 少女はゆっくりと大人へ 少年もゆっくり大人へ 二人の関係も「あいまい」から「はっきり」へ ゆっくりゆっくり ゆっくりだけど確実に 未来にむかって 二人で 一緒に ずっと 一緒に END |
可愛いやひつば小説ですねぇ…vv美咲にゃあこんなに可愛い小説は書けませんヨ★二人の関係も「あいまい」から「はっきり」へ ゆっくりゆっくり
ゆっくりだけど確実に まさに『弥彦と燕』のことでしょうネ!これは! 由太郎の邪魔も入りつつ(笑)二人は進展していくのでしょう。私もやひつば小説書かなきゃvBBSなどで雪菜さんにご感想をお願い致しますね★ 2001.12.12up |