そばに//花鳥風華さんより

そばに

 

 
  「そばにいてくれ」
  
  アイツにそう言われたから私はここにいるの。
  言われたのは5年も前だけど。
  アイツと一緒にいるのはいけないと感じたこともあった。
  アイツに背を向けて去ろうと思ったこともあった。
  でもアイツは
  私の不安もすべて理解したうえで抱きしめてくれる。
  過去に怯えて泣いている時も
  患者を助けられずに苦しんでいるときも。
  
  「ただいま」
  
  アイツの明るい声が家に響く。
  慌てて立ち上がり玄関に行った。
  
  「おかえり」
  
  私は自然に微笑んだ。
  こんな風に笑えるのもこいつのおかげだ。
  こいつは子供っぽい笑顔で笑った。
  いきなり笑顔が途切れ、不安そうな顔になる。
  
  「どうした?お前泣いてるぞ?なんかあったのか?」
  「え?泣いて・・・?」
  
  そのとき頬に触れて気がついた。
  私の頬に涙が伝っていた。
  
  「何でだろ・・・?おかしいな」
  
  私はぎゅっと抱きしめられた。
  
  「何かあったら言えよ?力になりてえから。」
  「うん」
  
  言葉は要らないよ。
  私に必要なのはあなたのそばにいてあなたのぬくもりを感じることだから。
  
                           FIN
 

 

                                

花鳥風華さんより頂きました。

風華さんのお話では、この左之助と恵は祝言を挙げてから5年後とのこと。

ふとした幸せをかみ締める瞬間ですね。

私も左之助にこんなすてきなセリフ言われてみたい。(妄想)

 

 

すてきなお話有難うございました☆

花鳥風華さんは小説投稿フォームを利用してご投稿くださいました。

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2004.10.31

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