記念の月 |
記念の月 「剣心・・・・・」 月夜の闇。縁側で愛しい夫の名を妻・薫が口からこぼした。 「薫殿」 あの聞きなれているはずの声がこの間から聞いていない。 どれほど聞いていないのだろう? 「また来年秋にこの月を見よう。必ずでござるよ。」 そう剣心は約束した。 今日はその約束した日。 でも・・・・ 彼は親友のいる地へ行ってしまった。 寂しい。 苦しい。 逢いたい。 声が聞きたい。 今まで心の底に秘めていたものが目から真珠となりこぼれ落ちた。 「母・・・さま?」 寝ていたはずの剣路が襖から顔を出した。 「母さま泣かないで!」 小さい手が薫の涙をやさしくふき取った。 「ふふ・・・剣路はやさしいのね」 やさしい。 彼もそうだった。 「人斬り」という過去のため。 「今」という時代のため。 彼は「人を守る剣」を使って、この世を平和にしてきた。 彼はやさしかった。 「父さまはまだ帰ってこないの?」 「父さまはもうすぐ帰ってくるわ。ほら。もう遅いから寝ましょう」 心をこめて子守唄を歌った。 剣路がやっと眠った。 また縁側へもどって月を見上げた。 私や、剣路、みんな大丈夫よ。 心配しないでね。 でも、早く帰ってきてね。
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衣瑠香さんより頂きましたv 10月の御題、「お月見」に挑戦してくださいましたぁ。
剣心は友人のいる地…友人が左之助だとするとモンゴルでしょうかねぇ (剣心あんまり友人いなそうだし/笑) 遠い地に行ってしまった夫を待つ薫殿がせつないです。
そしてそして剣路君が可愛いですねぇ(><) お父さんのように優しい子ですv
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ご投稿有難うございましたv
2004.12.5 up |