絆―前編―【空夜優月様より頂きました】 |
『絆〜前編〜』 鳥の鳴き声が聞こえる。
まるで二人を祝福しているかのよう。 眩しい朝の光りも優しく二人を包み。 幸せあふれる二人を照らす。 数日前、多くの困難を乗り越え剣心と薫は結婚した。 今もまだ「おめでとう」という言葉は周りから絶えない。 そんな中、剣心に一通の手紙が届いた。 筆跡は女のもの。それからというもの剣心の様子がおかしい。 丁度遊びに来ていた左之助達も剣心をみて不思議に思った。 「どうしたの、剣さん。具合でも悪いの?」 「それが分からないの。昨日剣心宛の手紙が来てからずっとあれ。」 「はは〜ん。わかったぜ俺は。」 「な、何だよ。左之助。」 にやりと不気味な笑みを浮かべ、スタスタとうなだれる剣心に左之助が近づく。 隣にどかっと座り、剣心の肩に自分の腕を絡める。 「剣心・・・お前・・・結婚早々浮気したなっ!」 「・・・・・・・・・・」 辺りは一瞬凍りついた。特に薫は凍りつく前に怒りに震えている。 恵、弥彦は(馬鹿だ・・)と言うような顔をする。 これには剣心もうつむきながらも少し苦笑い。 「ちょぉっと、左之助!あんた一体剣心を何だと思ってんのよ!」 「な、何だよ!お前だって内心少しは思ったんだろ!」 「そ、そんな事ないもん!馬鹿ーー!」 「分かった!分かったから殴んな!・・いてててててて・・・」 ーガラガラガラー 玄関の戸が開いた。客人のようだ。 戸が開いたと同時に剣心の体が動いた。まるでそれを予想していたかのよう。 そのわずかな反応に弥彦は見逃さなかった 「お、おい!客来たぜ!早く行け!」 「ふん、まったく。」 まだ怒りが収まらないのか少し息を荒めながら玄関のほうへ足を速めた。 「全く今のはあんたが悪いわよ、左之助。」 「本当だぜ、もっと考えてもの言えよな!」 「うるせーな。俺の自由だろ!・・・なぁ、剣心。実際どうなんだよ。」 「あんたって人は・・・・・・・・。」 「違うでござるよ、左之助。拙者は薫殿しか見ていないでござる。ただ・・・」 「なぁ、剣心。もしかして昨日の手紙が関係してんのか?」 「!!!」 「やっぱりそうか・・・。なぁ、一体何が・・・・」 「きゃあぁぁぁぁぁぁぁぁ!」 玄関の方から薫の悲鳴が聞こえた。 その悲鳴にすぐさま反応した四人は玄関へと走る。 たどり着いた先には左腕から血を流す薫と吹っ飛んだ玄関に 鎖を両腕にかけ、立っている女がいた 「薫殿!」 「どうした嬢ちゃん!」 「大丈夫!」 「え、ええ・・・・」 「やい、てめぇ!いきなり何すんだよ!」 弥彦は背中の竹刀を力いっぱい握り締め女に降りかかる 女も少し体を低くし攻撃の態勢をとる 「やめるでござる、弥彦!」 「えっ・・・・・・・」 剣心の叫ぶ声に反応し弥彦の竹刀は振り上げた状態で止まった 薫を支えながらも剣心は恐ろしい目つきで相手を睨んでいる 「剣心・・・・・・?」 「どういうつもりでござる、霞。」 「霞・・・・・・・?」 みんなの視線は剣心から謎の女、霞へと向けられた 霞はゆっくりと顔をあげる 「みんな驚かしてすまない。霞は・・・拙者の妹でござる。」 「い、妹ーーーーー!」<3人 剣心の言葉に誰もが疑った 剣心に妹がいた。だが、良く見れば似ていなくはない さらっとした長い髪。剣心と同じ瞳。そしてどことなく似ている面影 辺りは沈黙した。そんな中、霞が口を開いた 「お久しぶりです、兄上。お変わりなく・・・いえ、ずいぶんと 変わられましたね。」 「霞。そんなことよりこれはどういうことでござるか。」 薫の腕を自分の着物の袖を破り、応急手当をしながら剣心はつぶやいた 理由はどうあれ薫に怪我をさせた。剣心にとっては許しがたい事である 霞はムッとした顔で答えた 「兄上はとても強いお人。兄上の嫁となる女も強くなくてはなりません。 私はそこにいる神谷薫が兄上にふさわしいかどうか兄上の妹として、 確かめに来ました。」 「ならば人違いでござるよ。」 「えっ・・・・・・。」 「この人は緋村薫でござる。神谷薫ではない。」 「剣心・・・・・・・・・・。」 「・・・・・!!みんな、散らばるでござるっ!」 剣心の叫びと共に霞の体の周りから数本の鎖が勢い良く剣心達に襲い掛かった。 剣心は薫を抱き、壁へ逃れ左之助は恵をかばい床へ伏せる。 弥彦も間一髪鎖を避けていた。 辺りはまるで大砲が撃たれたかのような大穴があちこちに開きシュゥーーと音 を立てている。 「霞・・・・・・・・・。」 「人間違いなどではありません、兄上!私が認めてその者は初めて緋村の名を 受けるのです!」 霞は薫を睨みながら体を構える。先ほどの攻撃に入るつもりだ 剣心も逆刃刀を構え薫の前に出る すると横から左之助、弥彦が剣心の前に出てきた 「悪いがこいつらは祝言挙げたばっかでよ。俺達でよければ相手になるぜ。」 「これでも俺は薫と剣心の稽古受けてんだ!そう簡単にはやられねェ!」 相手が女と思い余裕を持っていることがよく分かる(特に弥彦) 辺りは沈黙する。霞は構えるのをやめ冷静を装っている。 間合いを見て左之助、弥彦は霞に攻撃をかける その時、台風の直撃を受けたような突風が起こった 目も開けられず、体が押される 風がやみ目をそっと開けると、剣心と薫の横に左之助と弥彦が倒れていた 頭から血を流している。まるで大きなかまいたちにあったかのように 霞の方に目をやるとその隣には見知らぬ男が立っていた 「お前は・・誰でござる・・・。」 「我名は桑原志奥。霞の邪魔をする者は俺が排除する・・・。」
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空夜優月様から頂きました〜vv連載作品でございますvv 剣心の妹、霞。そして謎の男、志奥! 祝言をあげたばかりの二人に襲い掛かる試練。 燃えますね〜!!(>▽<)!!! 志奥という男、相当強いですね。 われらが左之助と弥彦がいっぱつで…(涙) この敵は必ず剣心、そして薫がとってくれるはず…!!!! 続きが楽しみです! ご投稿有難うございました。 2004.10.31 up |