*花鳥風華さんより…*

素直に

 

着物を見ていた。
  左之助に似合いそうだと思った。
  意味はないけど。
  ただなんとなく。
  そのとき、誰かが肩をたたいた。
  
  「よう!何してんだ?」
  「・・・着物を見てるの・・・」
  
  左之助は私が見ていた着物を見て、首を傾げた。
  
  「剣心にあげるには少しでかくないか?」
  
  私は驚いて左之助を見た。
  左之助は気にせず続けた。
  
  「色もあわねえしなあ・・・・」
  「剣さんにあげるんじゃないの!」
  
  つい強く言ってしまった。
  強く言いたいわけじゃないけど、左之助の言葉になぜか傷ついたような気持ちにな
  った。
  左之助は頭をぽりぽりとかいた。
  そして罰が悪そうにつぶやいた。
  
  「じゃあ、誰にあげるんだよ。」
  「あんたよ」
  「俺に?」
  「そうよ。だって同じ服しか着ないでしょう?」
  
  左之助は年相応の笑顔で笑った。
  
  「ありがとな」
  
  私はこのとき、素直に思ったことを言えるこいつがうらやましいと思った。
  
  いずれは
  私も左之助のように思ったことを素直に伝えたい。
  
        左之助に

 

 

 

 

                               END

 

お題の『着物』に挑戦してくださいました。

恵さんの可愛いお話でしたv

左之助って本当に思ったことを

すぐ口にする、憎めないヤツですよね。

それと正反対の、恵。

人は自分に似ている人に惹かれる場合を

全く違う人に惹かれる場合があるそうです。

恵さんの場合は後者ですね。

 

このあと恵さんは左之助に着物をこっそり買ってあげるのかなぁ?

妄想膨らむ素敵な小説でしたv

ありがとうございました。

 

 

2004.11.5 up

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