私と梅の秘密事/フルムーンさん |
私と梅の秘密事 風はまだ冷たいが春の香りが漂う日のこと… 恵は往診の帰りだった。 「あ…梅の花が咲いてる…もう春ね…」 暖かな空気が恵を包む。 その時強い風が吹いた… 「きゃっ!!」 吃驚して目を閉じるが恐る恐る閉じた目を開いてみる。 見えるのは空を舞う幾枚もの梅の花びら… 「す…ごい…綺麗…」 その美しい景色にただただ見とれるしかなかった。 「あぁ〜〜くそっ!!ついてねぇぜ…まったくよぉ!!」 左之助は賭場の帰りだった。(勿論負けた) 「ん?なんかいい匂いがする…どこだ?」 ふと見上げるとそこには梅の花。 「…なるほど!梅の匂いか…」 目線を戻し前を見ると空を舞う花びらの中に一人の女性が… 「め…恵…?」 いつもの恵からは想像も出来ない様な空気を纏っていた。 =あ…あれは誰だ…?= 目が離せない…動けない…こんな不思議な感じは初めてだった。 恵は左之助の存在にようやく気づいた。 「左之助…あんた、こんなとこで何してるのよ?!」 「な…何って…賭場の帰りだよ。」 「そう…。それより見て…綺麗ね…」 そう嬉しそうに語る恵をみて頬を少し薄紅色に染める。 「…お前…の方…が…」 言うつもりは無かったが恵があまりにも美しくてつい 口を滑らせてしまった。 恵は気づいていない様だ。 「な…なぁ、もう帰ろうぜ…」 「そうね…」 二人で肩をならべ帰る間、恵の頬が薄紅色に染まって いたことを左之助は知らない… それは梅の花びらだけが知っている… =なにか恥ずかしいから聞こえてたことは 教えてあげないんだから…= 左之助が知るのはずっと先のこと…
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きゃーん、恵さん聞えなかったふりなんてかわいいv そうそう、左之助より一枚上手な恵さんって良いですよねv 梅の花びらだけ知っている、なんてとってもロマンチック! 聞えていたことを知った左之助のバツの悪そうな顔が 目に浮かびます(笑) フルムーンさん、有難うございました! 20050508 |